暗殺現場である中国のハルビン駅に、地元当局が記念館を開設したためだ。昨年の安倍首相による靖国神社参拝に対抗した対日圧力の一環とみられる。

 いまの北東アジアに何より必要なのは融和の努力のはずだ。なのに、あえて対立の火種を増やし、言い争いを深める事態を憂慮せざるをえない。

 安重根の評価は、とくに日韓の間で対照的だ。菅官房長官は「死刑判決を受けたテロリストだ」とし、韓国外交省は「独立と東洋の平和のために献身した偉人」と反論している。

 この落差を埋める手だては、容易には見つからない。歴史とは、同じコインの表と裏を見るように、それを評価する者の立ち位置や考え方によって異なる叙述になりがちだからだ。

 9・11テロ事件の直後、当時のパウエル米国務長官はテロの認定の難しさをこう語った。「ある者には『テロリスト』でも、別の者には『自由の戦士』に映るような領域がある」

 パレスチナのアラファト氏や東ティモールのグスマオ氏のように、時に犯罪者、時に英雄とされた例は世界史に数多い。

 日本と中韓が安重根をめぐる自説をぶつけ合っても、生まれるものは争い以外にない。自国の叙述に閉じこもったまま相手の理解のみを求める行為は、もはや外交とはいえない。

 どの国の間にもある永遠の平行線の課題は棚上げし、協調できる結節点を探るのが政治の責務だろう。日中韓の指導者たちにはその自覚が欠けている。

 政府間のさや当てをよそに、韓国民の間では日本との距離を縮めようとの声も出ている。

 韓国の世論調査によると、安倍首相の靖国参拝後でも、半数近くが日韓首脳会談の実現を支持している。

 ソウルでは、長崎・対馬で盗まれた仏像を日本へ返すよう政府に求める訴訟が韓国の市民団体によって起こされた。

 市民レベルや経済界では無為な対立を続けるよりも、新たな互恵の関係をめざす動きが芽生えているのに、政治のリーダーたちはなぜ、負の連鎖を断ち切れないのか。

 自国の歴史観を押し通すことで国内の狭い支持層を喜ばすことはできても、複眼的な視座が求められる外交の地平は開けない。日中韓の指導者は、アジアの未来を描く大局観こそを語り合ってほしい

↓なお読売新聞平成26年1月21日社説はかなり良い! 80点!

安重根記念館 韓国の反日工作は執拗すぎる

 安重根記念館歴史問題で、日本に対する圧力を加えようとする中国と韓国の連携が一段と強まった。憂慮すべき事態である。

 中国黒竜江省ハルビン駅に、「安重根義士記念館」が開館した。安重根は、朝鮮独立運動家で、初代韓国統監の伊藤博文を暗殺した人物だ。韓国では、日本支配に抵抗した英雄とされる。

 朴槿恵・韓国大統領が昨年6月、習近平・中国国家主席に、暗殺現場のハルビン駅に記念碑の設置を求めた。それに、中国側が記念館の設立で応えたものだ。

 朴氏には、日本の歴史問題で、中国と共闘する狙いがあったのだろう。韓国外交省は、開館を歓迎し、安重根が「韓中両国民から尊敬されている」と強調した。

 しかし、日本の立場や国民感情を無視して作られた記念館は、到底受け入れがたい。

 日本政府はこれまで再三、両国に懸念を伝えていた。開館に際して、韓国と中国に対し、外交ルートで抗議したのは当然だ。

 菅官房長官は、安重根について、「我が国の初代首相を殺害し、死刑判決を受けたテロリストだ」とし、この件での中韓連携は「地域の平和と協力の関係の構築に資するものではない」と述べた。

 朴氏の意向を受け入れ、記念館を設立した中国も問題である。

 多民族国家の中国にとって、安重根を称揚することは、少数民族である朝鮮族の国境を超えた民族意識を刺激しかねない危険をはらんでいる。

 それでも、中国が記念館開設に踏み切ったのは、反日をテコに、韓国を外交的に取り込もうという打算が働いたのだろう。日米韓の外交・安全保障上の連帯にくさびを打ち込む狙いがうかがえる。

 一方、安重根記念館以外でも、韓国は、歴史認識に関する一方的な主張を強めている。国際機関や第三国で、日本の立場を損ねていることは看過できない。

 韓国政府は、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)による世界記憶遺産に、いわゆる元従軍慰安婦らの証言記録を登録するための準備を始めた。

 フランスで行われる国際漫画祭では、慰安婦問題をテーマとする作品を展示すると決めた。

 米国では、韓国系団体が、教科書に「日本海」に加えて、韓国での呼称「東海」を併記するように求める運動を展開している。

 日本政府は、韓国の執拗な外交工作に対抗して、正確な事実関係を丁寧にかつ粘り強く、世界に対して主張していくしかない。

朝日社説は読売社説より1日遅れのノロマで売国奴の、0点社説なのだ!